2011年04月

2011年04月30日

人づくりは国づくり

前に「人望」の話を取り上げた。
この人望、生まれもってのものかと言えば、そうでもなく、かつての日本人はこれを四書五経で学んでいたそうだ。

即ち、学問は「九徳」を身に着けることが目標だった。

一、寛にして栗(寛大だが、しまりがある)
二、柔にして立(柔和だが、事が処理できる)
三、愿にして恭(まじめだが、ていねいで、つっけんどんでない)
四、乱にして敬(事を治める能力があるが、慎み深い)
五、擾にして毅(おとなしいが、内が強い)
六、直にして温(正直・率直だが、温和)
七、簡にして廉(大まかだが、しっかりしている)
八、剛にして塞(剛健だが、内も充実)
九、彊にして義(剛勇だが、義しい)。

以上が九徳と呼ばれる内容である【山本七平著:人望の研究】。

この九徳を身に着けるために、江戸時代の人々は四書五経を一生懸命に学んだ。
だがこの九徳、一筋縄では行かない。
例えば、一番目の「寛にして栗【りつ】」から「栗」の言葉を取ると、「寛大だが、しまりがない」になってしまい、すぐに「不徳」に転じる。
そして更に「寛」までなくなると、「こせこせうるさいくせに、しまりがない」になり、二重の「不徳」。
また「簡にして廉」の反対は「何もかも干渉するくせに、全体がつかめない」、「乱にして敬」の反対は「事を治める能力がないくせに、態度だけは居丈高」。
それぞれ一つが欠ければ「九不徳」だが、両方が欠けてしまうと「十八不徳」。

どこかに居そうですね、こういう「十八不徳タイプ」。

考えてみれば、明治以降の日本の教育には「知育・体育」しか無い訳だから、所詮「人望あるリーダー」を求めるのは無理な話。

「人づくりは国づくり」と云われる由縁だ。



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2011年04月23日

自尊心

「切れば、切られるのが世の常」という言葉がある。
従業員のクビを切った経営者は、いずれ仕返しに会うという意味で我々の業界でもよく使われる。
仕返しは直接解雇した従業員からではなくても、廻り回って世間の悪評で会社の業績が落ちる場合もある。
自分の勤め先を解雇されるということは、法律的には雇用契約を解除されるに過ぎないのだが、解雇された社員にとっては、社会的なマイナスの烙印を押されることにもなる。
「あいつは会社をクビになった」という評価は、その人間の人格的否定にも繋がり、本人の社会的信用は失墜する。だからこそ昔から、実際は解雇でも本人都合の希望退職という穏便な方法を選ぶ。遺恨を残さないための日本流の知恵である。

しかし、昨今この知恵も風化しつつある。労働トラブルの多発化は、日本の社会を更に不健全にするのではという心配。だが、そんな心配も些細な事と思える3.11震災。

一瞬にして自分の勤め先が無くなって、否応無く大量の失業者が生まれた。
震災前の日本全体の完全失業者数は300万人。
この数字が仮に400万人に膨れた時、日本社会は一体どう変質するのだろう。

「人は誰でも、自分自身への誇りを、自分に課せられた仕事を果たしていくことで確実にしていく。だから、職を奪うということは、その人から、自尊心を育む可能性さえも奪うことになるのです(英国の作家、ケン・フォーレット)」。

思うに国家の値打ちとは、自尊心のある国民をいかに多く育てられるかにあるのではないか。
補償金支給や義援金配分だけでは、勿論自尊心は育くめないだろう。天は自ら助くる者を助く?



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2011年04月16日

人気と人望

3月11日の大震災発生から既に1カ月が経過した。
震災発生当初は、「がまん、耐える」事が当たり前と考えていた被災者や関係者からも、ここに来て政府の不がい無さを憤る声が聞かれるようになって来た。

それにしても菅総理のやることなすこと、みんな批判の的になる。なぜだろう?
なぜ政府を、菅総理を信頼しようという声が上がらないのだろう?

おそらく菅総理は、この震災を契機に自分の活躍を誇示し、支持率UPを狙ったはずである。
だからこそ直後の現場視察も実施した。かつてO157騒動の時に、テレビカメラの前でカイワレ大根を食べて見せたような国民向けのパフォーマンスで支持率がUPすると考えた。

だが状況は違った。
今回は国難とも言える非常時である。今、国民がリーダーに求めるのは「人気」ではなくて「人望」。
「世間から受けの良い(人気)」リーダーではなくて、「信頼できる人物として、慕い仰がれる(人望)」真のリーダーを国民は求めている。

確かに平時には、多少軽くても小泉元総理のような世間受けのする人物でも良かった。
しかし、非常時には、やはり信頼ができて、慕われ仰がれる人物に舵取りを託したいと誰もが思う。

結局、菅総理には「人望」が無かったということ。
そして、この「人望」なるもの、勿論今日明日の内に身につくものでは無く、今更繕いようも無い。今、国難を前にして与野党大連立の話が取りざたされている。

しかし、この「人気」と「人望」の違いさえ理解できない人たちに日本の行く末を託すのは、ちょっと心配でもあるが、これも今まで「人気」だけで政治家を選んで来た我々国民の不明不徳の所為と観念するしかない。



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2011年04月09日

悪人正機説

日本中の人たちが急に善人に変身してしまい、まるで善行を競うかのような現象に見えるのは、私のひがみ根性からだろうか?
日頃余り善行と縁のない私は、正直なところ少し戸惑いを感じている。しかもテレビで連日有名タレントに美辞麗句を並べ立てられ、甘いセリフで語りかけられると、何故かお尻がモゾモゾして来て落ち着かない。

一体この違和感は何だろう。
私だけが感じている違和感なのか?
私のような天邪鬼な人間にとっては、善行を強いられているようで、ついつい引いてしまう。

「善行」と言えば達磨大師のエピソードに「無功徳」という逸話がある。
その昔、中国の梁という国の武帝が、ある時達磨大師に尋ねた。
「私は、仏の教えを世間に広めるためにお寺をいくつも建てたし、仏像もたくさん作り、僧侶を何人も育成している。
これだけ仏教に尽くしているのだから、さぞ功徳が多かろう」。
それに対して、達磨大師は何と答えたか?
ただ一言、「無功徳」。
即ち、「何も善い報いはありませんよ」と。

これだけ善い行いをしたのだから善い報いがあるに違いない、と普通の人は期待する。
でも達磨大師は「何にも報いは無いよ」と言い放つ。

禅の教えでは「善い行いができたこと自体が、あなたにとっての功徳(幸せ)。
そもそも人間はとかく悪事をしやすい。
その悪事をしやすい人間が、悪事でなく善事ができたこと、それ自体が善い報いである。それがご褒美である」
(「百歳の禅語」:松原泰道 )。

昔は「善いことは閻魔さんにわからんようにしろ」とよく言われたそうだが、今や善行は世間を挙げて、盛大に行なうのが世の習いだ。

さあ悪人たちよ、後に続け!



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2011年04月02日

禅と日本経済

「世俗の業務は、宗教的修行であり、それを一心不乱に行なえば成仏できる」とする江戸初期の旗本出身の僧侶鈴木正三。
この正三の思想が、日本資本主義の精神の一つと指摘するイザヤ・ベンダサンこと山本七平氏。
「働くことはすべて仏行、メーカーが物を作り出すのは一仏の分身として世界を利益するため、またセールスマンは巡礼である。
禅とエコノミック・アニマルが、実は同じ発想から出ていることに気づかない。
われわれの社会では『ブラブラしている』は非難の言葉である。
働かないということは、仏行を行なっていないことだから、非難されて当然である(『日本資本主義の精神』:本文抜粋)」。

以上、日本人の労働観が世界の中でも特異な訳が、これでよく分かる。
日本人にとって、働くことは仏行の修行。
常に米欧諸国と比べ労働時間が長いと批判され、国策として長時間労働を厳しく取り締まっているが、これは反面日本国民の美徳と言われる「勤勉性」をひん曲げる行為なのかも知れない。

日本の職人芸が世界から一目置かれるのも、この日本人の労働観(仏行修行)があればこそ。
日本人の誇るサービス精神やサービスマナーの根底にあるのは、やはり「禅」の思想と言えるのではないか?

トイレに神様を見つける国民性こそ、日本の誇れる精神的財産。
「労働=生産性=お金」と機械的に算出する今風の労働観とはだいぶ距離がある。

昨今の日本社会は、労働を「搾取」と「苦役」と位置付けるマルクスの労働観に染まってしまったかのようだ。

改めて「働く」=「傍楽」という禅の思想を吟味して、日本社会の本来的な精神的活力を取り戻すことが、再建国家日本に必要なのかも知れない。



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